ファーストインプレッション。Jの可愛い小リスのようなフェイスが般若の形相になり、「わしの酒が飲めんのかグォラァァァァァァ」とドスの効いた声で目の前の一匙を勧められている。氷結酒である。スプーンは我々の間を3周以上しているはず。現代の若い子なら、不潔さを理由に断りそうなシチュである。Jは酒癖さえ良かったら、彼女はもっと多くのファンを従え90年初頭の神戸の街を席巻していたかもしれない。そのくらいJはべっぴんだったし、飲ますと大トラと化したのだった。
氷結させる、冷やすことは即ち日本酒にどういう効果をもたらすのか、知らんが私らはその翌日がっちり二日酔いになった。飲みやすい、口当たりがいい、つまり思わぬ量を飲み過ごす危険をはらんでいるのかもしれない。この時は完全にJのせいであったが。
あの飲み会から30年が経過した今、専門学生だった我々の同窓会はまだ不定期に開催されている。パートナーがいるメンバーも含むのでもっぱら女子だけの安心同窓会が多くなってはいるが。Jは家族間の関係で充実していると聞く、参加はしていない。そういう選択もありだろう、あの大トラは。他のメンバーにRという男子がいたが、彼は卒業後、いわゆるMARCH系大学に編入した。10年ほど前、悪ふざけでFacebookに本人を見つけて私が同窓会中継をしたのだが、返信は一切なかった。調べていないがブロックされているに違いない。我々は彼の中で黒歴史なのだ。ちょっと変わってる他県から来た彼をからかいまくったから当然だ。Jと、もう一人のべっぴんMの名前を混ぜ合わせたような名の、ドラムが叩ける彼女とはどうなったのだろうか。結婚したのかい。妄想癖があった彼は編入先で友達はできたのだろうか、いや言うまい。あまり言ってはいけない気がする。
会いたいなぁ。みんなに。会えるうちに、会っておきたい。
そんな、抽象的にふわっと人に会いたがる、しかし会わない引きこもりの私が運営するサイトです。毒気も少々、だってお年頃ですもの。
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